既婚者に騙されて肉体関係をもったら、相手に「貞操権侵害にもとづく慰謝料請求」ができる可能性があります。
慰謝料の金額はどのくらいになるのでしょうか?
今回は貞操権侵害の慰謝料の相場や裁判例を、金沢の弁護士がご紹介していきます。
このページの目次
1.貞操権侵害の慰謝料相場
貞操権侵害の慰謝料の相場はだいたい50~300万円程度です。
騙した側が悪質な場合、不誠実な場合、騙された側が妊娠した場合、低年齢で判断能力が低い場合などには慰謝料が比較的高額になります。
2.貞操権侵害で慰謝料が認められた裁判例
実際の裁判では貞操権侵害でどの程度の慰謝料が認められるのか、裁判例を確認しましょう。
2-1.慰謝料200万円の支払い命令が出たケース
結婚相談所で知り合って3か月間交際し、肉体関係を持った事案です。男性が女性に借金申込みをして断られたことから一方的に婚約破棄し、女性側が男性側に慰謝料500万円、弁護士費用50万円の支払いを求めて提訴しました。
裁判所は、慰謝料として200万円、弁護士費用として20万円の合計計220万円の支払い命令を下しました。
男性側が半ば強引に肉体関係を結んだことや、借金を断られたらすぐに連絡を絶つなど真剣に交際していたとは考えられないこと、調停にも応じないなど不誠実な態度をとっていたこと、女性が異性と肉体関係を持ったことがなかったことが考慮されています。
東京地方裁判所 平成23年 6月23日
2-2.慰謝料60万円と中絶費用等10万円の支払い命令が出たケース
男性が既婚者であることを隠して女性と交際し、性関係をもったケースです。女性側は妊娠して中絶を余儀なくされました。
裁判所は男性に対し、慰謝料として60万円、中絶費用など10万円と弁護士費用7万円の合計77万円の支払い命令を下しました。
男性が既婚者であると告げずに虚偽の説明をしていた事情や、避妊せずに性交渉に応じた女性側の責任などが考慮されています。
東京地方裁判所 平成26年8月7日
2-3.慰謝料300万円の支払い命令が出たケース
男性が、既婚者であることを隠して女性と肉体関係をもち、女性が未婚のまま妊娠・出産した事案です。
裁判所は男性に300万円の慰謝料支払い命令を下しました。
男性が女性を「彼女」として友人に紹介していたこと、女性側が交際の解消を求めても「結婚しよう」などと言って交際を継続させたこと、女性が妊娠したとき中絶を希望しても男性が産むよう求めたこと、既婚者であることが判明した後も不誠実な対応をしていた事情などが評価されました。
東京地方裁判所 平成26年10月29日
貞操権侵害の慰謝料はケースによって異なります。どのくらい支払ってもらえるのか知りたい方は、ご相談下さい。